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2015年9月16日

今も昔も

master (2015年9月16日 15:06) | トラックバック(0)
秋の気配が深まってきました。みなさん、お風邪など召していませんか。
こんにちは。穎才学院教務です。

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さて本日の報道に興味深いものがありました。

学校で生徒1人あたりのパソコン設置台数を増やした国ほど、成績が下落傾向にあることが、15日に発表された経済協力開発機構(OECD)の調査でわかった。

パソコンを使う頻度が高い生徒は読解力が低いという結果も出ており、教育現場でのICT(情報通信技術)の活用方法に課題が浮かび上がった。

OECDは各国の15歳を対象に読解力と数学・科学の応用力を測る国際学習到達度調査(PISA)を3年ごとに実施している。今回は2003年と12年の調査に参加した39か国の成績の変化と学校へのパソコン設置台数との関係を調べた。

それによると、オーストラリアやニュージーランド、ハンガリーなど、生徒1人あたりの設置台数を増やした国では、数学的応用力が下がっていた。一方、パソコンの設置率が比較的低い日本やメキシコ、イタリアなどは成績が上がっていた。(2015年9月16日読売新聞)

OECD(経済協力開発機構)はヨーロッパ諸国を中心に日・米を含め34 ヶ国の先進国が加盟する国際機関です。OECDなど、国際機関による教育関連調査というのは、その都度、丁寧に内容を読みとらないといけないのですが、たいていの場合、その時々の何かしらの都合にあわせて恣意的に解釈されてしまうのが残念です。

今回であれば、「学校でPC増やした国では成績が下落した。だから、ノートをきちんと取るのが大事だ!そこで、〇〇式ノート術!!」とか、「学校でPC増やした国では成績が下落した。やっぱり、スマホやゲームは良くない!そこで、スマホもゲームも禁止!」とか、そういったスピーチの素材として利用されてしまうのかもしれません。

今回の調査に拠れば、明らかになったのは、「学校でのPC等の導入が成績向上にあまり寄与しない、どちらかといえば成績を下げているかもしれない」という「学校でのPC等の導入」と「成績向上」との関係であって、「〇〇すれば成績が向上する」とか「PC等は学校内でも学校以外でも禁止すべきだ」ということではありません。少し考えれば、誰にでもわかります。

私たちが考えるべきは「子供の成熟はいかにして果たされるのか」ということであると思います。そのソリューションは「子供の身近からコンピューターを排除する」ことでも「ノートをきちんと取る」ということでもありません。

今も昔も子供の成熟のトリガー(引き金)は同じです。それは「目に映るすべてのことはメッセージ」だという感覚をもつことです。

はい、そうです。ユーミンです。

「目に映るすべてのことはメッセージ」だと思える感覚のことを、内田樹先生(今日も登場!)は「被贈与の感覚」と説明しました。

木漏れ陽は誰かからのメッセージじゃありません。ただの自然現象です。でも、ユーミンはそこに「メッセージ」を読み出した。自分を祝福してくれるメッセージをそこから「勝手に」受け取った。そしてその贈り物に対する「お返し」に歌を作った。

話は続きます。

その歌を僕らは聴いて、心が温かくなった。「世界は住むに値する場所だ」と思った。そういう思いを与えてくれたユーミンに「ありがとう」という感謝を抱いた。返礼義務を感じたので、とりあえずCDを買った(昔なので、買ったのはLPですけど。)

わかりますか?わからなくても、平気です。わからない人は多いから。というのも、私たちはこの「被贈与の感覚」を忘れがちなのです。日常のいろいろなことは、スムーズに運行して当然だと思っている。電車が定時に発車することに、郵便物や宅配便がほとんど遅配なく確実に届くことに、テレビやラジオの番組がラテ欄の通りに進行することに、私たちの多くは「感謝」しない。

ユーミンの感覚はそうではありません。

「目に映るすべてのことはメッセージ」というのは、「私のまわりのすべてのものは、私に宛てて挨拶を送っている(だから、そのすべてに私はお返しの挨拶をする義務がある)」という宣言です。

静かな木漏れ陽を浴びても何も感じない人間。

それが贈与のサイクルから「下りた」人間です。(内田樹『困難な成熟』214ページ)

贈与のサイクルから下りた人間というのは、成熟のサイクルから下りた人間です。

そういう人間のことを、私たちの世の中では「子供」と呼びます。

年をとっていても、社会的地位を有していても、「子供」は「子供」です。私たちの世の中では「子供」の割合が増えていると言われます。

それに対抗して「大人」の割合を増やしていくこと。そのためにまずは私たち自身が「贈与のサイクル」の中にきちんと入ること。それが「子供の成熟」のために私たちが取るべきソリューションです。

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