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2010年2月25日

【土佐日記 現代語訳】忘れ貝

master (2010年2月25日 18:31) | トラックバック(0)
 四日。かじ取りが、「今日は、風や雲の具合がとても悪い。」と言って、船を出さなくなってしまった。しかしながら、一日中波も風も立たない。このかじ取りは、天候も予測できない愚か者だったのだなあ。
この港の浜辺には、様々な美しい貝、石などがたくさんある。それだから、亡くなった娘のことばかり恋い慕いながら、船中の人が詠んだ歌は
浜辺に打ち寄せる波よ。恋しい人を忘れるという忘れ貝をうち寄せておくれ。そうしたら、私は船から下りて、その忘れ貝を拾おう。  
と詠んだので、ある人が堪えられなくなって、苦しいことの多い船中の気晴らしに詠んだ歌は、
忘れ貝を拾ったりはしますまい。白玉のように可愛らしかったあの子を恋しく思う気持ちだけでも、あの子の形見と思いたいから。
と詠んだのだった。(死んだ)娘のためには、親は子供のように聞き分けがなくなってしまいそうだ。「玉と言うほどもなかっただろうに。」と人は言うだろうか。しかし「死んだ子は、器量よしだった。」という言い方もある。
 やはり、同じ所で、日を過ごすことを悲しんで、ある女が詠んだ歌は、
手を浸しても子が死んだ悲しさのせいで寒さすら分からない泉に、水を汲むことはないのに手を浸し続けているうちに、だんだん日にちだけが過ぎていくことよ。

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